大規模修繕の談合リスク──管理会社・管理組合・理事のための見積査定ガイド
投稿日:2025年5月11日

目次
はじめに
マンションの大規模修繕工事は、10年〜15年に一度という大きなプロジェクトです。
だからこそ、予算数千万円以上が動く場面では「談合」や「不透明な見積」などのトラブルがつきもの。
この記事では、マンション管理組合の理事や管理会社担当者が直面する課題を整理し、
相見積もりや第三者査定の活用によるリスク回避策についてわかりやすく解説します。
「談合」は他人事じゃない──大規模修繕で起きやすい理由
大規模修繕における談合とは、複数の業者が事前に金額をすり合わせ、競争を装って高額な契約を成立させる行為です。
特に以下のようなケースでは、注意が必要です。
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管理会社が特定の施工業者ばかりを推薦する
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提案される見積が「一式」表記ばかりで内訳が見えない
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他社との相見積もりを嫌がられる
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相見積もりを取ってもなぜか同じような価格になる
国交省の調査でも、管理組合の多くが「業者の言い値」を鵜呑みにして発注してしまう現状が指摘されています。
管理組合・理事会が見落としがちな落とし穴
理事会は基本的にボランティアで構成されており、建築や工事の専門知識を持たない人がほとんどです。
そのため、
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提案された工事項目が本当に必要か
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価格が相場より高すぎないか
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工法の選定が妥当か
といった判断ができず、管理会社や業者の言いなりになる構造が生まれがちです。
実際に当社に寄せられた相談の中にも、
「相場より1.5倍近い高額な見積で契約寸前だった」ケースが多数あります。
相見積もりを“取るだけ”では不十分?
「相見積もりを取れば安心」と思いがちですが、
談合が行われている場合、複数社から同じような見積が出てくることも。
また、管理会社が間に入って談合を助長してしまうケースもゼロではありません。
こうしたリスクを避けるには、見積の中身を比較・分析できる第三者の目が必要です。
第三者による見積査定で、内容の妥当性をチェック
私たちA.t.oathでは、建築士や施工管理技士が見積の中身を徹底的にチェックし、以下のような観点からアドバイスを行います。
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単価が相場とかけ離れていないか
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工事項目の「一式」表記が過剰ではないか
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不要な工事が含まれていないか
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複数社見積の金額差の理由
単なる「金額比較」ではなく、設計・仕様・数量・工法などの妥当性を精査することで、
「見積の根拠があるかどうか」を見極めます。
管理会社との関係に配慮しながら、透明性を確保
「管理会社との関係が悪くなるのでは…」と懸念される理事の方もいますが、
透明性を高めるための第三者チェックは、むしろ健全な関係構築に役立ちます。
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管理組合としての説明責任が果たせる
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住民からの信頼を得やすくなる
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高額なトラブルを未然に防げる
このようなメリットを管理会社側にもしっかり伝え、協力体制を築くことが理想です。
実際にあった事例:第三者査定で600万円以上の差額
ある30戸のマンションでは、管理会社から提示された見積が3,500万円。
第三者査定を実施したところ、以下の問題が判明しました。
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「足場一式」の金額が相場の1.4倍
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必要のない補修工事が含まれていた
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塗料のグレードが不要に高い
最終的に、内容を適正化して2,850万円で契約が成立。約650万円のコストカットに成功しました。
まとめ:管理組合の役割は「適正な判断」をすること
大規模修繕は、住民の大切な財産を守るための事業です。
だからこそ、“なんとなく流される”ことが最大のリスク。
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管理会社の提案を鵜呑みにしない
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相見積もりを取るだけで満足しない
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専門家による見積査定を取り入れる
こうした視点を持つことで、談合リスクを回避し、住民から信頼される理事会運営が実現できます。
おわりに
A.t.oathでは、見積内容の第三者チェック・業者への説明代行・住民説明会の支援など、
大規模修繕の透明性確保をサポートしています。
「この見積で本当に大丈夫?」
「管理会社の提案をどう判断すべき?」
そんな疑問をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。